【歯医者さんに聞いてみた、ハミガキ知恵袋。vol.1 えばた歯科医院 江端先生】「定期健診に行ったときに、歯医者さんから、歯が磨けていないと言われるんです。」編

今回は、ハミガキライフ肝いりの特別企画「歯医者さんに聞いてみた、ハミガキ知恵袋。」です。

この特別企画では、お客様からお話を聴いたりご相談を受けたりすることが多い「歯」に関するトピックについて、ハミガキライフの店長が歯医者さんと対談する企画です。

有益な情報を、楽しく、皆様にもお届けしたいと思います。

「歯医者さんに聞いてみた、ハミガキ知恵袋。」の記念すべき第1回目の登場は、えばた歯科医院の江端隆寿(えばたたかとし)先生です!

店長:本日は、よろしくお願いします。

江端先生(以下「江端」):よろしくお願いします!

「定期健診に行ったときに、歯医者さんから、歯が磨けていないと言われるんです。」

店長:早速ですが、イベントの時に「定期健診に行ったときに、歯医者さんから、歯が磨けていないと言われるんです。」ということを言われる方がいます。どういうことなんですか?(ちなみに、当店の常連さんでは、そういう声は聞きません。)

江端:全く磨けていないことはないと思うので僕だったら、「磨けていないところから磨く」ようにアドバイスをします。磨けているところは、無意識に磨けているはずなんで。多分、(患者さんは)そこばっかり磨くんです。

店長:なるほど。僕は、染色液を使って定期的にチェックしているんですけど、着色が残りやすい場所があるんです。なので、普段からその部分を意識的に磨くようにしているんです。でも、やっぱり同じところが着色してしまうんです(汗)。これはどうしてなのかなあと…。そこに「汚れ(歯垢)が溜まりやすい」ということなのか…。

江端:それもあると思います。やっぱり、歯並びやその人なりのブラシの動かし方の問題で、汚れを落としきるところまでいかないんじゃないでしょうか。反対側は磨けているんですか?

店長:はい。

江端:じゃあ、やっぱり反対側とはブラシの動かし方が違うんでしょうね。磨けている側と同じようにブラシが動かせれば、磨けるはずですから。

店長:なるほど~。自分の弱点を知った上で、磨くのが大切なんですね。

江端:繰り返しますが全部の歯を磨けていない人は、いないんです。磨けている部分と同じように、他の歯も磨けるかどうか?ですね。だから、いつも僕は「磨けていないところから、始めて下さいね。」と言います。

店長:ほぅ。

江端:どうしても人は「やりやすい」ところから磨いてしまうので、そこばっかり磨かないように、と。磨き始めは、意識出来るじゃないですか。そこから段々無意識に、適当に歯ブラシを動かし始めるようになると思うので。

江端:もし磨き残しがある人でも、虫歯になっていないのであれば、「歯が強い」人なのか、「いい唾液が出ている」か、「むし歯菌や歯周病菌でそれほど悪いものがいない」ということなんだと思いますが、プラーク(歯垢)が溜まっていくと病原性が強くなっていくので定期的な歯科受診は欠かせません。

店長:なるほど。

江端:歯が十分に磨けてなくて、歯の状態がどんどん悪くなっていってるんだったら、まずは歯磨き頑張らないと!ということですよね。それでも改善しない場合は他の原因(歯並び、食べ物、食べ方、悪い癖など)を考える必要があります。

店長:そうですよね。

店長:磨けていない場所というのを、自分で意識して磨くことが出来れば、道具(歯ブラシ)は、何でもいいんでしょうか?

江端:自分で合うものを見つけるのがいいんじゃないでしょうかね。いろいろ試してみて磨きやすい、全体的にも口腔内に入れやすいとか、歯に当てやすいものとかがあれば、それを使えば良いと思います。

店長:歯医者さんって、どの程度磨けていないときに、「磨けていない」と指摘するんですか?

江端:完璧に磨ける人なんていないんですが僕たち医療者は、悪いところを見つけたがる習性があるんですよ。

店長:プロフェッショナルですからね。

江端:だから僕は、歯磨き指導では、まず良いところ(磨けているところ)を言うようにしています。それで、「あとはここが磨けていないので、同じように磨けるようにしていきましょう」と伝えるようにしています。

店長:なるほど。褒めるって大事ですね。

江端:本人がどのくらい気にしているかにもよりますしね。

店長:イベントの時に、お客様のお話を聞いていると、歯磨きが出来ていないと言われながらも、どうしていいのか分からない人が多いのかな、と感じます。歯医者さんから、具体的な指導があったのかもしれないし、指導があっても忘れてしまっているのかもしれませんし…。でも、まずは、「磨くのが苦手なところから磨く」というのが、いい気がしますね。

江端:そうですね。歯を磨く順番を決めておく、っていうのはもいいですね。僕も順番は決めています。磨き忘れがないように。あとは、時々染色液を使って、磨けていないところを視覚的に確認するっていうのもいいでしょうね。意外と、下の前歯の裏とかは磨き残しが多いんですよね。奥の歯の方が歯ブラシを入れやすいので。

「歯ブラシを持ってきてください」

店長:歯医者さんが患者さんに「歯ブラシを持ってきてください」というのは、どういう意味があるんですか?

江端:まずは、患者さんが「口に合っている歯ブラシを使っているかどうか」、「いつ歯ブラシを買って、今どういう状態のものを使っているか」、それから、普段の磨き方を見るために「その歯ブラシでどの程度落ちるのか」というところですかね。あまりにもその人に「合っていない」、おかしい歯ブラシというのもたまにありますから。

店長:例えば?

江端:ガタガタの歯並びなのに、大きなごろんとした歯ブラシを使っているとか。ブラシが開いた状態で使っているとか。そりゃ、絶対磨けていないですよね。歯ブラシが開く前に交換してもらいたいので、まずは月1回の交換を目安に、1カ月以内でブラシが開いてしまっているようであれば、ブラシの当て方が強すぎるんじゃないか、とか。

店長:1カ月もたないというお話は、よく聞きますね。

江端:毛が開きすぎて、寝てしまって、ほぼほぼ「たわし」みたいになっている人もいましたよ(笑)。

店長:そうかあ、「歯ブラシ持ってきてください」にも、ちゃんと意味があったんですねぇ。

お口と全身疾患の関係

店長:江端先生は、お口と全身疾患の関わりにお詳しいとお聞きしました。歯周病と糖尿病との関係などは、よく言われますよね。

江端:例えば、「上咽頭」といって喉の奥の上の部分あたりの免疫の主戦場があるんですが、そこで炎症が起きると、全身疾患に大きく関わることがあるんです。「病巣疾患」といって、原因は「上咽頭」にあるんだけど、症状があらわれるのが全然違う場所だったりするんです。

店長:へぇ~。

江端:先週の僕のラジオを聞いていれば、分かるんだけど…(笑)。人が口呼吸をすると、口にはフィルターがないので、ばい菌などが直接入って上咽頭が炎症を起こしやすいんです。

店長:なるほど、だから口呼吸ではなく鼻呼吸がいいと言われるんですね。

江端:鼻には鼻毛とか鼻水とか、フィルターになるものが沢山あるので空気中のばい菌が少ない状態で入って来ます。ばい菌が少ないものを免疫でやっつけるのは、そんなに難しくないんです。ところが、口呼吸だとフィルター無しでばい菌が多量に入ってきてしまうので処理しきれず炎症を起こしてしまいます。

江端:急性炎症は、たいてい炎症の起こっているところが原因になるんですが、慢性炎症の場合は炎症物質が体をめぐって、どこか他の部位で症状が出るんですよね。

店長:へぇ、確か江端先生は、歯医者さんでしたよね(笑)?

江端:歯医者です(笑)。体は全部つながっていますから、なるべく口だけでは診ないようにしているんです。

店長:「口だけでは診ない」というのは、具体的にどのようなことでしょうか?

江端:今、お話した病巣疾患の事もそうですが例えば、患者さんに立ってもらって写真撮って、姿勢やバランスを見たりとか。その方の姿勢のゆがみが、噛み合わせから来ていることもあるんです。かつて、患者さんで右の歯しか噛んでいない人がいました。右側の臼歯だけで噛んでいたせいで、右側の肩が下上がって首も右側に傾いて、全身のバランスが歪んでしまっていたんですよね。こういう方は、足の問題を解決したら姿勢が直るかもしれないし、噛み合わせの問題を解決して両側の歯で噛めるようになると、頭の傾きが無くなる可能性もありますので両方からアプローチする必要があります。

店長:いや~面白いですね、全身を診るというのは。

江端:血液検査の検査表なども持ってきてもらって、血圧や糖尿の数値を見せてもらったりすることもありますよ。詳しいことは分からないとしても、口腔内の状態と病気が何か関連しているんじゃないかと考えてみたりします。

江端:また、舌の機能が落ちると、嚥下機能もそうだし、口呼吸になりやすくなったり姿勢が悪くなったりします。噛み合わせにも影響があります。そうなると、今度は姿勢のことを考えないといけなくなって、姿勢を考えると足のことを考えないといけなくなっちゃう。

店長:そこまで行っちゃいましたか(笑)。

店長:そもそも江端先生は、なぜ歯と全身疾患の話に興味を持ったんでしょうか?

江端:以前、勤務していた医院で、年に1度、スタッフ全体の発表会というのがあるんですが、僕は以前「呼吸」を発表テーマにしたんです。その時に、ある先生の講演を聴きに東京まで行ったんです。そこで、口が身体の病気につながっていることを知ったんです。それから、何度もその先生の講演を聴きに行きましたね。そこから色々勉強を初めて、今に至ります。

店長:面白いですね。僕も、漠然と口腔と全身疾患との関係を聞くことはあっても、じゃあ歯医者さんでどんなことをしてくれるかというと、なかなか具体的なアプローチをしてくれる先生は居ないんじゃないかと思っていました。

店長:今日は、ありがとうございました。

江端:ありがとうございました。

【ご協力いただいた歯科医院】
えばた歯科医院
札幌市白石区東札幌3条2丁目1-57 東札幌ハイツ2階
011-811-1165
http://ebata-dental.com/
副院長 江端 隆寿 先生

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