【歯医者さんに聞いてみた、ハミガキ知恵袋。Vol.7 永井歯科医院松前診療所 逸見優先生】「40代からの予防歯科」編

「歯医者さんに聞いてみた、ハミガキ知恵袋。」は、お客様からお話を聴いたり、ご相談を受けたりすることが多い「歯」に関するトピックについて、ハミガキライフの店長が歯医者さんと対談する企画です。有益な情報を、楽しく、皆様にもお届けしたいと思います。

「歯医者さんに聞いてみた、ハミガキ知恵袋。」の第7回目の登場は、永井歯科医院松前診療所の院長である、逸見優(へんみまさる)先生です!本日は、逸見先生がハミガキライフの店舗までお越しくださったので、店内でのインタビューをお届けします。

店長:本日は、よろしくお願いします。

逸見先生(以下「逸見」):よろしくお願いします!

40代以降の口腔内のリスクって??

店長:私自身も当事者なので気になっているところなのですが(笑)、40代から歯周病のリスクが高まるといった話を耳にすることがあります。そこで本日は、「40代からの予防歯科」ということをテーマにお話を聞かせていただければと思います。

店長:まず、40代で気にしなければいけない口腔内のリスクというのは、どういうものが考えられるでしょうか?

虫歯リスクと歯周病リスクの逆転が起こる?!

逸見:40代から50代にかけてというのは、ちょうど虫歯リスクと歯周病リスクが逆転する年代になります。40代以前は、歯周病の心配というよりは虫歯のコントロールが大切ですが、40~50代以降は、虫歯リスクは少なくなっていき、代わりに歯周病リスクが加速していって、ちょうど交差するポイントの年代ということになります。

店長:40代以降は、逆に虫歯リスクが減るんですか??

逸見:若年者はエナメル質が脆弱ですから、歯の質自体が柔らかい分、虫歯になりやすいということになります。年齢を重ねると、エナメル質が石灰化されて段々丈夫になっていきます。また、また、歯の歯髄(神経)も年齢を重ねるごとに段々小さくなってきますから、たとえ虫歯になったとしても、その症状が出づらくなったり、場合によっては経過観察で許されるような虫歯も増えてきます。
そう考えると、虫歯はあくまでも、若年者が特に気を付けたい疾患という見方ができ、40代以降は歯周病リスクに意識を向けなければならない、ということになります。

店長:そうなんですね~!虫歯リスクが減る理由というのは、よく分かりました。逆に、40代の歯周病リスクが、若年者の頃に比べて高まる、ということになるんですか?

逸見:歯周病リスクは、加齢とともに高まっていきます。若年者でも歯周病の方はいらっしゃいますが、それはごくごく稀なケースで、大体の方は40代・50代から歯周病にかかる方が多いです。

店長:よく、「20歳以上は8割が歯周病」といった話を耳にすることがあるのですが、あの話は実際にはどうなのでしょう?

逸見:そのような言葉はよく耳にしますね。広義での「歯周病」でいえば、20代以降の方の8割が歯周病といっていいかもしれませんけれども、あれはあくまで啓発を目的とした言葉ですね。ですので、歯肉炎の方や、例えば歯茎にプラークが付着しているだけの症状の方も含めていえば、8割の方が歯周病といえるかもしれません。
ただ、狭義の歯周病であれば、40代・50代以降から、実際に発症する方がほとんどであると思います。

店長:へえ~怖いですね…。

過去に治療した虫歯の再発!?

店長:その他、40代以降ならではの口腔内のリスクというものは、ありますか?

逸見:過去に治療していた歯の症状の再発が頻発し始める時期になってきます。

店長:ほう。

逸見:小中学生などの若年者の頃は歯が脆弱ですから、この時期は一生懸命歯磨きをしていても虫歯になりやすい時期に当たります。この時期に虫歯の治療を経験した方が、しばらくは歯の状態が良好だとしても、そこから20年~30年経って40代になったときに、虫歯の症状が再発する。ちょうどそういった年齢ということになります。

店長:へぇ~。それは、どのような理由があるのでしょうか。

逸見:これは、「二次カリエス(虫歯)」と言われるものなのですが、若年者の頃の治療で虫歯を取り切れなかったものが再発することがあります。もちろん、若年者の頃に治療をされた歯科医師も、一生懸命治療されているんですけれども、歯科医療の特性があるために、虫歯が再発してしまうということが起こります。

逸見:歯科医療の特性というのは、人の体に代替物を置き換えて治療するというところです。代替物を置き換えているだけですから、そこにばい菌が繁殖しやすくなります。また、代替物は人の体の変化に順応してくれませんので、そこにどうしてもギャップが発生してしまいます。ちょうどそういった時期に、二次カリエスが発生してしまうということになります。

店長:なるほど。二次カリエスというのは、「治療してから10年20年経った頃」に発生しやすくなるのか、あるいは、「40代に入ってから」発生しやすくなるということなのでしょうか?

逸見:10代の頃に治療した歯が、20年くらい経って、30代で二次カリエスを発症したというケースもあるかと思います。ただ、若年者の頃に少しずつ虫歯の治療を経験していって、自然な歯が人工的な歯に置き換えられ、そういった歯が口の中に段々多くなってきて、ちょうど40代に差し掛かった頃に、その中のいくつかについて虫歯が再発して…というケースが多いかと思います。

店長:なるほど~。そうなんですね。以前、ある先生にお聞きしたことがあるのですが、虫歯の治療で人工物を接着する接着剤自体にも寿命があって、10年~20年経つと、付けていた歯がぽろっと取れてしまったりすることがある、と。そして付けていた歯を取ってみたら、その中が虫歯になっていたということがあるようです。

逸見:いわゆる「二次カリエス」ですね。虫歯の治療というのは、虫歯を削って、そこに代替物として金属やレジンなどを詰めて、その間にセメントなどの人工物を介在して治療をすることになります。そして、口の中というのは、アイスクリームを食べたり熱いコーヒーを飲んだりと、温度差が激しく生じる場所なのですが、ここで金属とエナメル質が接触していたりすると、必ずギャップが生じます。口の中の温度変化によって物質が膨張したり収縮したりといった度合いが違っていますので。こういうことが10年・20年と繰り返されると、詰め物の中に細菌が入り込んで、二次虫歯の原因になります。

店長:なるほどですね~。

逸見:今、歯科医療の業界では、熱膨張の話も含めて、人の体と同じように順応する素材の研究をしています。

店長:ほう。

逸見:他の例でいうと、コンタクトレンズは人の体に人工物を接触させているものですから、レンズを3日~4日と外さずにいると、必ずレンズにばい菌が繁殖して、目に炎症が出てきますよね。あとは、絆創膏も何日かつけっぱなしにしていると、悪臭がしてきますよね。これと同じことが、歯の表面でも起こっているということになります。

店長:なるほど。

逸見:ただ、目の表面は敏感な組織ですから、少しでも炎症があれば痛みとして感じやすかったりしますけど、歯の神経は本当に深いところにありますから、ばい菌が繁殖していても感じづらい、鈍感な部分なんですよね。ですから、本当は歯も、コンタクトレンズをずっと着けている状態が続いているにもかかわらず、自覚症状が現れるまでにはかなりの年月が流れていることになります。実は、人工物を歯にセットした瞬間からコンタクトレンズを装着したのと同じような現象が起こっているのです。

店長:確かに、そうですよね…。

歯の欠損とは??

店長:他にも40代ならではのリスクはありますか?

逸見:ちょうど40代から歯周病のリスクが高まってきて、それに伴って歯の欠損、つまり歯を失うリスクが出てきます。

店長:それは歯周病が原因で歯を失う、ということなのですか?

逸見:そうですね。歯を失う原因の第一位が、歯周病ですから。

店長:そうなんですね。つながってくるわけですね。以前、知覚過敏に関する話を聞いた際に、「くさび状欠損」についての話があったのですが、40代ではこのような症状も、増えるのですか?

逸見:「くさび状欠損」が発生するメカニズムというのは色々考えられているのですが、大まかには歯に過剰な負担がかかっているのが大きな原因ということになりますから、こちらも経年的に、歯が少しずつ欠けて、ちょうど30代40代50代にかけて、目に見えるくらいの欠損が生じてくることがあります。

店長:なるほど~。

逸見:非常に歯ぎしりをされる方や、激しいスポーツをやっている方であれば10代~20代でもくさび状欠損が起こる場合はありますけれども、明らかに目に見える形でくさび状欠損が出てくるのは、40代・50代くらいが多いという印象です。

店長:なるほどですね。結果的に40代に入ると、知覚過敏にもなりやすかったり、歯周病リスクの高まりによって口臭の原因にもなりやすかったりとか、二次的に出てくるものもあるんですかねえ。

逸見:そうですね、歯周病リスクの高まりによって、歯周病に関わる様々な良くない影響は、出てきます。

加齢による歯の衰えってあるの??

店長:余談ですが、40代に入ってくると成人病リスクとか、加齢による体の衰えによる疾病リスクが発生すると言われていますが、歯についても、そういった加齢による衰えというものは、あるんでしょうか?

逸見:人間は、生物学的には、歯の機能が衰えるわけではなく、一生涯歯を失わないという前提で生きられるはずです。人間を除いた動物は、歯を失うと生きていられない。生物学的には、歯を失うことは死を意味します。人間は、歯科医療や医学がある点を含めて、歯を失っても生き永らえるように知恵をつけていますけれども、基本的には歯の機能が衰えるわけではなく、自分の歯で一生涯をまっとうすることができる前提です。

店長:なるほど。たまに、歴史的な資料などで骸骨などを見ても、歯が残っていますよね笑。

店長:さて、話は変わりますが、医科の治療と違って、歯科医療は「代替物で補う」という話がありましたが…、歯って、どうして再生しないんでしょうかね笑?「再石灰化」という言葉はありますけど、骨が折れたら自然にくっついて元通りに治るように、歯もそうならないかなあと…。

逸見:そうなんですよね。ネズミのように歯が生え変わる動物も地球上には存在しますが、人間に関しては、残念ながらそうではなかったということですね笑。

店長:すみません、いつも疑問に思っていたもので…笑。

逸見:歯を形成する細胞は、エナメル質を形成すると、ほぼすべて存在しなくなってしまうんです。歯を形作るところまでは、一生懸命細胞分裂をしてくれるのですが、エナメル質を形成した瞬間、その細胞がなくなってしまうんです。

店長:えっ、そうなんですね。

逸見:歯も、エナメル質や象牙質、セメント質、歯髄…といったように色々な組織がありますけれども、少なくとも、エナメル質に関しては、そういうことになります。ですから、エナメル質を含めた「歯の再生」というのは、難しいでしょうね。

店長:へえ~。やはり、歯はちゃんと磨いて、大切にしなくてはいけませんね…。

逸見:人間の骨は、「リモデリング」といって、人間の皮膚と同じように見かけ上はずっと同じに見えるのですが、新陳代謝し続けてターンオーバーし続けています。

店長:ほ~、そうなんですね。

逸見:他方で歯に関しては、一旦形成されると一生涯それを使い続けなければならないということになります。

店長:なるほど、面白いですね。こういうことを知ると、皆さん、歯に対する認識も変わるかもしれませんね。

40代は何をしていけばよいのか??

店長:これまで、40代以降の口腔内に関するリスクについて伺ってきましたが、これを受けて、40代は何をしていけばよいのでしょうか?

逸見:まず口腔ケアグッズの話をしますと、主に歯磨剤は、①虫歯予防、②歯周病予防、③知覚過敏用、④ホワイトニングの大きく4つに分けられると思います。歯磨剤でいえば、歯周病予防をメインにしたものを選択していただくとよいと思います。また、歯ブラシ選びも、どちらかというと歯周病予防を意識したもの、歯茎を綺麗にすることを意識したものを選択していただければよいと思います。

店長:歯ブラシでいうと、もう少し具体的にいうと、どのようなものがいいでしょうか?

逸見:必ずしも「これがよい」というのは一概には言いづらいです。というのも、厳密には患者さんの歯茎の状態ですとか、実際にどういった手入れをされているのか、どのようなハミガキ癖があるかなど、そういったことを踏まえて選択していただくのが一番よいと思います。

店長:おっしゃるとおりですね。普段、ドラッグストアでわ~っと並んでいる歯ブラシなどを選んで買う方も多いと思いますが、そういう方に向けて、簡単にアドバイスできることってありますでしょうか?

逸見:例えば、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)が含まれている歯磨剤は、確かに殺菌効果を期待できますし、歯周病予防の観点からみると、心強い味方になってくれるのではと思います。他にも殺菌成分が含まれている歯磨剤はありますけれども、バイオフィルムに浸透・殺菌する成分として知られているのはIPMPですね。

店長:確かに、歯科衛生士さんとお話しているときも、その成分のお話は出てきますね。

逸見:歯磨剤は、IPMPなどの薬用成分だけみると魅力的ですが、医薬品ではなく「医薬部外品」にカテゴリーされる製品ですので、薬用成分自体が結構規制されているのです。なので、歯磨剤には規制の範囲内でしか成分が含まれていませんから、あまり薬用成分自体に期待しすぎるのは、よくないですね。そう考えると、歯磨剤は「毎日続けられる」味や感触であることが、現実的には歯周病予防にもつながるのだと思います。歯ブラシ選びと同様に、ご自身が気持ちよいと感じられるものを選んでいただくのが、よいと思います。

逸見:よく、歯ブラシは極細のものがいいんだよとか、コンパクトなものがいいんだよというように、簡単にまとめられることもあるかと思いますが、実際に私が患者さんを診ていると、患者さんが「気持ちいい」と感じてくれるものが結果的に長続きしますし、ブラッシングの回数も時間も良い方向に習慣化されるのではないかなと思います。

店長:そうですか、素晴らしいご意見をいただきました。きちんとしたブラッシングで継続することが大切ですよね。

逸見:実際に私は、大学では歯周病学教室に7年間在籍していたのですが、大学病院で患者さんにブラッシング指導する際には、歯磨剤を使わないでブラッシングしてくださいと指導するのが、基本的な考え方になります。歯磨剤を使うと爽快感が得られるので、実はきちんとブラッシングされていないのにされているかのような誤解を生む場合があります。歯磨剤を使わなくても、機械的にきれいにすれば十分なんですよということを知っていただくために、歯学生はこのような指導方法を教わっています。ですから、実際に虫歯予防も歯周病予防も、きちんとしたプラーク除去さえしてあげれば、歯磨剤の成分に頼らずとも、十分に予防が可能です。ただ、最近は人々の健康意識が高まってきたり、歯磨きにエチケットの要素も大きくなってきたりしていますから、正しくブラッシングをするだけでなくて、プラスアルファで歯磨剤を使っていただく傾向がありますね。

店長:なるほど。私はついつい歯磨剤を使ってしまいます笑。

正しいブラッシングによる日常的なケアが大切。

店長: それを踏まえて、私たちが歯医者さんに行った方がよいとか、プロフェッショナルケアを受けた方がよい点などは、ありますか?

逸見: 少なくとも、ご自身のブラッシングが正しくされているかどうかは、チェックした方がよいかと思います。やはりホームケアが最も大切な基礎になってきますので、そこがきちんとされているかどうかは、チェックされることをおすすめします。その上で、ホームケア+プロフェッショナルケアをされると、より安心かと思います。

店長:特に40代以降についていうと、例えば定期的に歯科検診の機会を作るなどして、積極的に歯科医院とお付き合いした方がよいのでしょうか?また、歯科医院とどのような形で関わるのがよいのでしょうか?

逸見:私ども歯科医の大きな悩みとして、患者さんのお口への健康意識が低いということがあります。ですから、歯科医院に来て下さる方には、「自分は口への健康意識が高いんです」というスタンスで来てくださった方が、ありがたいです。

店長:なるほど~。

逸見:歯科医師は、大学卒業後に現場に出てから一生懸命勉強する人が多いんです。ですので、せっかく色々な知識や技術を身につけている人が多いんですけど、それを求めてくれる患者さんが少ないのが実情です。これは、日本の国民性というか、お口への健康意識があまり高くないということが原因の1つです。せっかくの知識や技術があっても使う機会がないというジレンマに苦しんでいる歯科医師が多いのが、実情です。

店長:なるほど、そうなのですね。

逸見:ですので、歯の治療を一生懸命したいんです、という気持ちで来てくださる患者さんがいると、歯科医師としてすごく嬉しいと感じます。例えば、当院には片道2時間かけて来てくださる患者さんがいたりとか、お口の健康意識がとても高い患者さんがいたりしますが、歯科医師としてとても嬉しいです。
もちろん、どのような患者さんに対しても、ちゃんとしていますよ。

店長:二次カリエスのリスクについては、日常のケアで対応できたりするんでしょうか?

逸見:二次カリエスについては、日常的なケアだけではコントロールしきれないという風に考えています。先生によって意見は様々あると思いますが、先ほどのコンタクトレンズなどの例で考えると、コンタクトや絆創膏は、実際に取り外せるから炎症をおさえることが出来ますが、歯の詰め物については取り外すわけにはいかないので、必ずしもホームケアだけで抑えられるわけではないと考えています。

店長:なるほどですね。

逸見:ただ、だからといって二次カリエスを諦めなければならないという話をしたいわけではありません。二次カリエスを抑えられるかどうかは、施された治療の質に9割方かかっている、という考えです。この点は、他の先生によっては異なるお考えの方もいらっしゃると思います。

逸見:虫歯を削ったままですと、見栄えも悪いですから、その機能を回復させるために、代替物を入れることになります。その際に、どれだけきちんと虫歯に感染した部分を取り残しなく綺麗に取り切れるか、そしてその部分をどれだけ精度の高い代替物で置換できるか、といった点にかかってくると思います。
また、どれだけ綺麗に虫歯を取り切っても、被せ物の精度が低ければ、簡単にばい菌が隙間に入ってしまいます。ですから、二次カリエスの予防を考える場合には、ホームケアは当然大切だけど、二次カリエスについてはそれ以上に医療の質が問われるのかなと思います。

店長:なるほどですね~。そうすると私たちは、どういった目線で歯科医院を選ぶのがよいのでしょうか?答えづらい質問になってしまうかと思いますが…。

逸見:おそらく、患者さんにとっては、痛くない・詰め物が外れない・時間が短い、という3つが揃っているのが、患者さんにとって上手な先生と思うかもしれません。実際にはその逆かと思います。

逸見:つまり、きちんと虫歯の治療をしようという際には、じっくり時間をかけることも必要ですし、痛みを伴う場合もあります。また、詰め物に関しては、健康な部分の歯までがっつりと削ってしっかり被せ物をすれば、それは外れにくいでしょうけれども、その代償として健康な歯の部分まで必要以上に削ってしまっていることにもなります。ですので、皆さんが感じられている良い歯医者のポイントというのは、実際の治療の質とはずれている可能性があると、個人的には考えています。

店長:なるほど。

きめ細やかで熱心な治療を求める方、インプラントの相談を考えられている方は、永井歯科医院へ。

店長:最後に、逸見先生にアピールしたいことなどあればお願いしたいと思います。

逸見:2つあります。まず、本日は私がかけてきた「サージテル」という拡大鏡についてです。今は、こうした拡大鏡を使用して治療するのがスタンダードになりつつあります。 もしかしたらこういった拡大鏡を使って診療している歯科医師は、少なくとも丁寧な治療をしようという意識が高いのではないかなと思います。実際に私もこの拡大鏡を使っていますが、これを使い始めると、裸眼で治療していたときと比較してどれだけ歯の中に虫歯が隠れていたのか、気づかされます。ですから、今普及しつつあるツールを積極的に使った診療が大切なのではないかと思います。

店長:なるほど~。

逸見: もう1つは、40代からは欠損が始まる年齢になります。皆さん、自分が入れ歯になるイメージって、持たれていますか?

店長:いや、今のところはイメージがつかないですね。

逸見:おじいちゃんおばあちゃんが、どのような経過を経て、入れ歯になっていくのかというのをお話したかったのです。小樽市の上浦先生が提唱している「歯牙欠損進行症」というのですが、例えば歯を1つ失った場合に、最も普及している選択肢は、ブリッジで失った歯を補う方法になります。ブリッジのデメリットって、何だか分かりますか?

店長:ブリッジの横の歯に、負担がかかるということですか?

逸見:そうです。おっしゃるとおりです。それが非常に大きくて、ブリッジは1つ歯を失った部分を、両隣の歯と合わせて3つを1つにつないでいるわけですから、「3人の仕事を2人の歯に強いる」という設計になっています。それが、数年なら頑張れますけれども、10年くらい経つとくたびれてしまいます。そして、それが原因で段々と歯を失っていくことになります。最初は1つ歯を失っただけだったのが、結果的に3つの歯を失って、今度は3つ失った歯を補うのにさらに他の歯に負担をかけて、結果的に全ての歯を失っていくというのが、現在の入れ歯をしている方が辿っていく経緯です。こうしたことは意外と知られていないのですが、なるべく歯を失った場合については、治療方法について慎重な選択をしてほしいなと考えます。

店長:そうなると、他に治療方法はあるんですか?インプラントとかでしょうか?

逸見:そうですね。インプラント治療については、高い治療だとか、歯科医が儲けるためにあるとか(笑)、誤解されている点が多いんです。歯を失っても、インプラントは独立して1つの歯として機能してくれますから、残っている歯に負担をかけずに済むのです。インプラントとブリッジは、治療方法として患者さんに選択肢が提示されることがあると思いますが、これまでお伝えしたことを踏まえて、慎重に選択していただきたいと思います。

店長:なるほど。本日は勉強になりました。特に、被せ物をコンタクトレンズの話に例えていただいたところは、非常に分かりやすかったです。本当にありがとうございました!

【ご協力いただいた歯科医院】
医療法人永井歯科医院松前診療所
北海道松前郡松前町字松城63-1
院長 逸見 優 先生
http://www.nagai-shika.com/

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